TCHについて -Tooth Contacting Habit-
2023年6月に参加した日本顎咬合学会についてのブログで、今後増えると予想される病気についてご紹介させて頂きました。
ここで取り上げたTCHについてもう少し詳しくご説明しますね。
TCHとは
Tooth contacting habitの略で、上下の歯を長時間接触させ続ける癖のことです。
人は普段、リラックスした状態で唇を閉じている時、上の歯と下の歯は接触していません。
通常上下の歯の間には1〜2mmの隙間があると言われています(これを『安静空隙』と言います)。
上下の歯が接触するのは基本的には食事中、咀嚼している時だけで、1日あたりの接触時間は20分程度が正常です。
自分がTCHかどうかはどうしたら解る?
「5分間意識的に上下の歯の隙間を維持する」
「5分間意識的に上下の歯を接触し続けてみる」
この両方を試してみて下さい。
どちらの方が楽に感じましたか?
上下の歯が接触している方が楽に感じられた方は、TCHと診断されます。
どうしてなるの?
日常生活上での様々なストレスや緊張、勉強や仕事での集中状態などが原因として考えられます。
またマスクをして頭を下げスマホを見る姿勢は、上下の歯が接触しやすくなります。
なぜダメなの?
歯への負担は
「 力の大きさ × 時間 」
で計算されます。
弱い力であっても長時間歯が当たっていることによって、歯や顎には大きな負担がかかります。
ずっと正座をしていると足が痺れてしまうように、長時間のTCHは様々な症状を引き起こしてしまいます。
歯の症状
しみる・痛む・欠ける・神経が死んでしまう……など
顎の症状
顎がだるい・こめかみが痛む・口が開けにくい・顎がカクカク鳴る・顎関節症になる……など
対処法は?
口を閉じた時には、舌をスポットにつけるように意識しましょう。
お口の中での舌の正しい位置は、舌先が上の前歯の裏側にくっついている状態です。
こうしていると舌が支えとなって上と下の歯の隙間を保ってくれます。
20分ごとに息をふーっと吐くように意識しましょう。
TCHの原因は緊張状態や、集中状態だと考えられています。
意識的に息を吐くことでリラックスし、力のかかる状態から解放しましょう。
虫歯もないのに歯が痛む場合、こういった何気ない癖が原因のことも多くあります。
今はまだ痛みなどの症状がない方も、一度ご自身でチェックしてみて下さいね。