虫歯の治療が怖くて泣いちゃう6歳の男の子の治療法
谷町六丁目しちご歯科 院長の山﨑です。
これを読んでおられる方は、初めて歯医者に行った日のことを覚えていますか?
個人差はありますが、おおよそ3歳頃から虫歯の治療ができる子は増えてきます。
(目安としては“こちらが言ったことの理解が出来る”、“じっと口を開けていられる”の2点です)
今回当院にやってきたのは6歳のお子さんです。
ところが、診察室に入るなり泣き出してしまいました。
お母さんによると、歯医者がとにかく苦手とのこと。
予防接種の注射は我慢できるそうなので、以前歯医者でよほどのトラウマが出来てしまったのでしょう。
診察にあたって詳しく話をお聞きすると、『バキュームで吸う』ことと、『風をシューっとかける』ことが特に苦手だそうです。
ひとまずご本人とお母さんで、「シュー」が何回なら大丈夫なのか、話しあってもらいます。
その結果、とりあえず『「シュー」は2回なら大丈夫』ということに決まりました。
しかし私はこの時点で1回も風をかけないでおこう、と心に決めました。
風がかけられないなら、コットンで拭けば良いのです。
代わりに使える方法があるのならば、なにもわざわざ苦手な方法を選択する必要はありません。
パッと見ただけで虫歯は3箇所。明らかに穴が開いています。
『「ガリガリ」も苦手』ということなので、今回は虫歯をガリガリ取るのもやめておこうと思いました。
虫歯の進行を抑える薬を塗って、セメントで穴を埋める。
それで今日の治療は終わりです。
とはいえ、お子さんは今から何をされるのか分からないので泣いています。
『ここは自分が大嫌いな歯医者だから、またきっと大嫌いな「シュー」と「ガリガリ」をされる』と思っているのでしょう。
不安な気持ちは『何をされるかわからない』という恐怖心から来ることが多いので、まずは今日やることを、使うものを見せながら説明します。
①歯をコットンで拭く
②ふわふわのスポンジで薬を塗る
(実際スポンジに触ってもらい、ふわふわだと確認してもらいます)
③穴が空いているところにセメントを入れる
(セメントを入れる器具も角が丸いので触ってもらいます)
この辺りで、随分泣き止んできてくれました。
治療中も鏡で見てもらおうと思いましたが、自分から目にタオルをかけてくれたのでそれはナシに。
痛いことは何もなかったので、そのままスムーズに治療は終わりました。
虫歯の治療が完全に終わったわけではありません。
しかしこの子には「うまく出来た」という成功体験がとにかく必要です。
この積み重ねが自信になって、ちゃんと治療できる日が来るのです。
この子も帰りにはニコニコでした。
自分で口を引っ張って鏡に映った詰め物を自慢げに見ている姿がかわいかったです。